7/17-19例会 南アルプス 鳳凰山

吉田さん、日本百名山を踏破する

吉田隆一さん(81歳)が7月18日、日本百名山を踏破しました。99座目の祖母山(大分・宮崎県境、1756m)に登頂した後、100座目の鳳凰三山を残すのみとなっていました。

 

吉田さんの百名山1座目は筑波山(茨城県、877m)でした。会報「たまてばこ」に寄せた手記で「1番目の山は、27歳の頃かと思いますが筑波山です。仕事の出張帰りで車とロープウェイを利用したので山の装備は零。俗に言う観光登山そのもので、原点とは言え汗顔の至りです。しかし頂上から北側に見た遥か遠くに白く輝く山並み(今思うに男体山、日光白根山)は50余年経過した今でも鮮明です。百名山のかけらも知らなかった時代のことです」(2021年9月号)と述懐されています。

 

鳳凰三山は2018年に計画していましたが、台風やコロナ禍で山小屋予約ができない事情が重なって実現に至らず4年が経過していました。ことし、吉田さんほか6人が鳳凰山(地蔵岳、2764m)を登頂し、ついに百名山踏破が実現できました。山行に参加しなかった会員からもたくさんの祝福メッセージが届けられました。

 

吉田さんは「四年がかりの計画がやっとかないました。(山頂での)横断幕は見事な出来栄えで達成に華を添えて頂き感激しきりです。達成まで長い年月がかかりました。おかげさまでやっと一区切りつきました。これからもよろしくお願いします」と述べています。

 

なお、山行3日目(19日)の天候の関係で観音岳・薬師岳を含めた三山を完登できなかったのは残念でした。

 

【コース】18日(月)くもり時々晴れ

5:10青木鉱泉~6:50ドンドコ沢道標7:007:28南精進ケ滝~9:49白糸ノ滝~10:35五色ノ滝~12:10鳳凰小屋12:2213:36地蔵岳14:2215:10再び鳳凰小屋 =9.1km

【コース】19日(火)小雨のち雨
5:30
鳳凰小屋~5:38富士見岩~5:58槍展望台~(時刻不詳)Oさん滑落~7:17燕頭山~9:11西ノ平~9:58バス停御座石温泉 =6.2km

【山行レポート】

17日 移動日。なんばOCATから高速バスに乗車、山梨県韮崎(にらさき)市で下車。JR韮崎駅からジャンボタクシーで鳳凰三山ふもとの青木鉱泉に移動。青木鉱泉で前泊する。

 

18日 薄曇りの中、青木鉱泉を午前510分、出発。ドンドコ沢登山道を登る。南精進ヶ滝までは緩やかな道でおしゃべりも賑やかである。この辺りから本流を遠ざかり急登の連続。おしゃべりも息が上がりままならない。沈黙の世界。Fさんの体調がいまいちで、発汗量が多く心なし顔色も悪くなりペースダウンする。

 

五色ノ滝を過ぎると源流部も近くなりお目当ての地蔵岳オベリスクが樹林帯越しに見えてきた。正直なものでその景観で元気百倍貰って鳳凰小屋に午後010分到着。美味しい湧水を飲み20分休憩後、Fさんを小屋に残し再出発。いきなりの急登になる。

 

樹林帯を抜けると景色が一変、ザレ場の急登が始まる。これが意外に手強く実に歩きづらい。くるぶしまで潜る。小休止を取りながら登る。ザレ場に接した東側斜面にシカの親子を目撃。シカはじっと我々登山者を見つめていた。136分、地蔵岳オベリスク基部に着く。

 

地蔵岳賽の河原にて6人で「地蔵岳2764m」の標識をバックに、「日本百名山踏破」の横断幕を掲げて記念写真を撮る。下山しようとすると体力を回復したFさんが登ってきたので、賽の河原に戻りFさん交え再び集合写真を撮る。3時10分、鳳凰小屋に戻る。

 

夕食前、小屋のスタッフが「富士山が見えるよ」と教えてくれる。小屋から数分歩いて富士見岩まで行き、富士山を眺める。就寝後の午後9時頃、激しい雨が降る。雨が屋根を打つ音で目が覚める。

 

19日 午前4時起床。HP「てんきとくらす」予報はCで雨風が強い。小屋の情報も良くない。話し合いの結果、観音岳、薬師岳への縦走は断念。5時半、燕頭山コースを雨のなか下山する。槍展望台を過ぎたあたりで0さんが滑落するもけがはなく、小休止して下山を再開。10時前、御座石温泉に着。同温泉から1時間かけて雑木林の中を歩き、荷物をデポしている青木鉱泉に着くつもりであったが、Kさんが膝を痛めていたので路線バスに乗ることになる。

 

御座石温泉10:35発のバスに乗車し、青木鉱泉11:00到着。温泉で汗を流しジャンボタクシーで韮崎駅へ。韮崎駅前の寿司店で昼食をとった後、韮崎14:36発のJR特急あずさに乗車。塩尻で特急しなのに乗り換え名古屋へ行き、新幹線に乗り継いで帰阪した。

 

【参加者】

会員7人

 

【感想】

六甲縦走や地獄谷の訓練で少し自信をつけて挑んだ鳳凰三山ですが、本当に手強い山でした。下山終盤、膝から腰までの痛みと、足指の水脹れでペースが落ちて、ルートを徒歩で完結できず皆の足を引っ張ってしまった事が悔しいです。応援して下さった皆さんに、感謝します。吉田さんの百座目にご一緒できたことを嬉しく思います。(K

 

●吉田さんの百名山踏破に参加できて光栄です。しかし、下山時に足を滑らせて橋から転落するという経験をしました。そのときは全く痛みを感じず、外傷もなく、案外落ち着いていました。でも、右太ももの外側を打ちつけたらしく青アザが出現しました。足の置き方にもっと注意をしなければならなかったと反省しています。とにもかくにも「百名山踏破」に傷をつけなくてほっとしています。(O

 

●下準備を万全に整えて参加しましたが、やはり南アルプスの山は私にとっては手強い山でした。ドンドコ沢の急登な道で途中から汗のかき方が異常で息切れ・動悸が激しく、これは普通ではないと感じました。鳳凰小屋に着くまで本当にバテバテでした。30分程したら大分楽になったので1人で追いかけました。本当に途中何度もくじけそうになったが、自分自身を奮い立たせて名物の砂斜面もクリアして頂上で皆と合流することができました。本当に感無量です。(F

 

●楽しみでしかなかった初のアルプス山行でしたが、あいにく天気のため、計画通りに鳳凰三山を巡ることはできませんでした。ですが、2日目の地蔵ケ岳(オベリスク)は、感動がいっぱいでした。私自身が身を置く最高峰からの景色は別世界でしたし、それ以上に吉田さんの百名山達成、そして、Fさんの復活劇。こんなにも人から元気と勇気をもらえることってなかなかないだろうと思います。(M

 

●鳳凰三山を最初に計画した2018年は東日本が台風のため、西日本の蒜山三山に変更したのを思いだします。入会して初めてのテント泊でけっこう楽しかった。あれから4年、ついに先輩の百名山実現。私の人生にも格別のページが刻まれました。(H

 

●いろんなことがあって、やっと、やっと念願の吉田さん百名山登頂達成が叶いました。計画、相談、予約(バス、小屋など)変更、また計画の練り直し、予約と何度この山行について考えた事か。本当に吉田さんの偉業にお伴させていただいて感無量です。(SL)

 

Fさんのこと。バテバテで小屋で横になっているとばかり思っていました。それが地蔵岳から下山寸前、登ってくるソロ登山者を発見。ン?まさかビックリ仰天!登山者はFさんでした。改めて山ヤさんの根性を見た思いで頭が下がりました。Oさんのこと。燕頭山コースを下山中、幅広横桟入りの木橋で滑り1回転して2m程落ちました。落ちた場所が柔らかな所で大事に至りませんでした。山は非日常の世界です。ヒヤリハットは常にあり気を抜かずに歩行する事が肝要だと思います。(CL